特別インタビュー

2008-10-28 Tue

保屋松靖人/エイベックス・エンタテインメントマネジメント部部長代理

 

自分だけの特異性を発揮してほしい!

今回はエイベックス・エンタテインメント/マネジメント事業本部マネジメント部部長代理保屋松靖人さんにお話を伺いました。

インタビュー

-次世代を担うアーティストとして重要な要素とは?

これからは作品も当然大事なんですけど、それ以上にアーティストの「パーソナリティ」がよりユーザーに受け入れられないと作品も受け入れられないと感じてます。
アーティストの生き様だったり、価値観だったりというのを自分の歌詞だったり、音楽だったり、演技だったり、ファッションだったりっていうフィルタを通して、 お客さんに伝えていくわけじゃないですか。その根幹にあるのは自分がこういうことを世の中に訴えていきたいっていう強烈なメッセージ性みたいなものだと思います。
自分なりのポリシーだとか確固たるものをもってないといけないのかなと。つまり人のいうことを聞いて何でもその色に染まりますっていうのではアーティストというのはむずかしいかな。
トッ プアーティストのバロメーターでいうと自己を持ってるってこと。そこが突出して持っていかないといけないと思います。それが共感したりあこがれをもったり して作品につながっていると思うと、自分を持っているどうかを重要な要素だとみています。90年代初頭だったら、プロデューサーにプロデュースしてもらう 事が普通で、インターネットも今ほど普及してなかった頃のメディアだとある程度、自分発信してるってことにみせる事もできたかも知れないです。でもこれだ けブログやインターネットが普及してくると、ハリボテで作ったものは見破られてしまうと思いますよ。例えば自分が曲が書けなくても、自分から周りを巻き込 んでいって、自分の持っているイメージとか世界観を持っていたら、それを形にしてくれるスタッフに的確に伝えて具現化していくというセルフプロデュースできる能力がアーティストとして問われてくるじゃないかと思います。




--今まで携わってきたアーティストの印象的なことは?

俗にいう花があるとかオーラがあるというか内面からにじみ出るもので、言葉で言い表すのはむずかしいですけれど、僕はtrfをみてきて、彼らは価値観を明確に持ってますね。これはありだけど、これはなしっていう明確なものを持ってます。
僕らのマネージメントという立場からみると、自分がやりたいことをアーティストに押し付けるんではなくて、アーティストの持ってる素養を引き出してあげる訳ですよ。
ユー ザーのニーズをがっちゃんこしていく、そういう風なところを戦略として考えていくんです。まず、何が何でもやりぬくっていう強靭な意志をもって、自分が一 番でありたいという欲望と、そういうものを持ちながら周りのスタッフがこの人のために何かやってあげたいって思わせるしたたかさを持っている人がいいアー ティストに成長していってますね。



---アーティストのいいところを引き出すポイントは?

十人いたら、十人違いますけど、僕は相手とよく話しをして、じっくり向き合っていくって事ですかね。その根本にあるのは信頼関係で、それがないとかみ合わないですから。この子 の得意なところ、苦手なとところ、様々なアーティストの特性をよく理解していく事ですね。ときにはプライベートなおつきあいをして、ご飯を食べて、恋人の ような、子を持つ親のような感じでその子の長所、短所をみつけていくんです。長所を伸ばして、欠点を長所に結びつけていくとすごく共感のポイントになって いくんで、その本人の素養をみいだしていく事だと思います。
例えば制作の場合はその人の歌とかっていうものをパッケージしていくと思いますが、我々マネージメントとしての発想では、その他の可能性も色々見いだしていきたいと思っています。つまり音楽は一つのツールだと捉えて、演技もいけるかな、と色々探ってみるわけです。




--これからオーディションを受ける人に向けて押さえどころは?

自分だけの特異性をなるべく本番に発揮できるようにがんばっていってほしいかな。狙ってやるとい事とは違うんですけど、歌で表現するのが、詩なのか、演技な のか、自分はここが違いますっていうこと出して欲しい。もちろん、歌がすごいうまいのはインパクトになりますけど、歌がうまくて華がないって人も見てきま したし。例えば200人のオーディションで通り一遍の事をやられてしまうと前の10人みてると次の11人目になったとき、その中の9人くらいは記憶になく なっちゃうんですよ。でも、全200人振り返ってみると、記憶に残っているのは数人いて、その数人は自分らしさをその短い時間の中で相手に明確に伝えきれてる人たちだと思うんです。


--日本のエンタテインメントでのavexの魅力とは?

こんな素晴らしい会社はないですね。プロダクション機能もあれば、レコード制作、コンサート制作、グッズ制作、配信、映像もできるというエンタテインメントに必要なインフラがこんな に整っている会社は他ではないと思います。これだけインフラが整ってるところでデビューできるって事はそれだけ色んなチャンスが広がるって事だし、そこが 最大の強みだと思います。それに加えてアーティストに対して想いというか情というか、そういう部分も持ち合わせてますし、あとは本人のやる気があれば最短距離で夢を叶えられる会社じゃないかなと思います。